こんにちは。
ソムリエエクセレンスでワインブックスメンターのなーなです。
まず、私の自己紹介をさせていただきます。
現在岐阜県郡上市のイタリアンレストランでソムリエを勤めております。
来年度からはドイツの日本食レストランで勤務する予定となっております。
ソムリエの呼称は2015年に習得しました。
エクセレンス試験には2021年度に臨み、一発合格をすることができました。
受験を志した当初(2021年9月)はシニアの呼称がエクセレンスに変更されたことも知らず
過去問を抜粋して挑戦してみたものの、一問も分からず、心が折れる日々でした。
そんな私がどうして一発合格できたのかを振り返って考えると
- 一般呼称(ソムリエ)を習得したときの成功体験があった
- 試験の情報収集に注力した
この2点でしょう。
このブログでは私が実際に行って良かったと感じた攻略法をはじめ他の生徒さんからも集めた体験談からの情報をもとに、
効率よくエクセレンス試験合格のためのマインドセットやノウハウをお伝えしていきます!
それでは2022年のエクセレンス試験の総括をお伝えします。
どうぞ最後までご一読ください!
2022年 ソムリエエクセレンス・ワインエキスパートエクセレンス総括
結論と要約
ソムリエは2021年度は11.3%、エキスパートは26.1%
受験者数はソムリエは203人、エキスパートは111人。
どちらの呼称でも毎年20~30名までの合格者を排出しています。
2022年度ではソムリエエクセレンスの最終合格者24名のうち4名がWBSで学習を行った方たちでした。
試験内容
一次試験【知識】(共通記述式;一部内容に多少の違いはある)
では、筆記試験です。
これは一般呼称と大きく異なるのは原語での回答が求められる点です。
また、英語での設問も出題されています。
英語の内容が全て理解できないとしても、言語のワードが理解できないと回答できない問題ばかりです。
対策としては、基礎知識はもちろん、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、東欧諸国の原語やスペルなど多岐にわたる原語でワインや酒類を理解し、正しく書き留める能力が問われます。
ワインリストを正しく作成したり、ワインの取引、取り扱いを行う、またソムリエとしてのマネジメント能力について必要な知識を求められる試験です。
エキスパートとソムリエの一次試験の難易度はほぼ同格と言えます。
違いがあるとすれば、設問にサービス内容に関することがソムリエの場合は設けられていることが予想されます。
二次試験【テイスティング/識別能力/回答、攻略法は共通】
例年5アイテムの出題です。
一般呼称と最も違う点は、すべてのテイスティングコメントを自分で埋めなくてはいけないということです。
↑は一般呼称を受験するときに使用したシートです。
これがエクセレンスになると、まっさらな紙に回答を書いていくことになります。
具体的にどういうことがというと
①番のワインが【2018年 シャルドネ フランス】だったとします。
出題内容としては、
【①番のワインについてできるだけ詳しくコメントしてください】
【①番のワインに合う料理を一品とその理由をコメントしてください】※ソムリエ
【①番のワインに合うシチュエーションを書いてください】※エキスパート
【①番のワインの醸造方法をできるだけ詳しくコメントしてください】
このような問われ方をします。
ワイン以外のその他飲料でも
【飲料の名称/原産国/原料/相性のいい料理とその理由】
このように問われます。もちろんガイドはありません。
三次試験【ソムリエ/実技】
【接客】を想定して実技を行います。
- 赤ワインのデキャンタージュとサービス(3分)
- デキャンタージュしたワインのプレゼンテーション【デキャンタージュした理由とワインについての説明を求められる】(2分)
- お題の飲料(4アイテム)についてのペアリングとその理由について(3分)
まず実技についてはとにかく時間がないです。これは毎日現場でワインを触っているソムリエだとしても試験用に特訓が必要です。
ということは、、、現場でワインを触ってサービスの仕事についていない方(インポーターや販売系)でも特訓をすれば十分合格できる素地が作れるということです。
プレゼンテーションですが、実際に喋ってみてください。
「2006年Calon Segurこのワインについての説明を2分でお願いします。」
どうでしょう?2分間がとても長く感じられませんでしたか?
時間が余ったのではないでしょうか?
中には説明しすぎて尺が足らなかったという方もいらっしゃるかもしれません。
プレゼンテーションは出題者の質問に対し、的確にかつ時間内に喋るトレーニングが必要です。
三次試験【エキスパート/論述】
過去の例題を見てみましょう
- 缶ワインのメリットとその活用方法
- ワイン5種類のアイテムが記載。どのようなホームパーティーを開催するか提案してください。
他にもシニアの呼称の時には
- ひやおろしを200字で説明
- 世界のワインの生産量および栽培面積、また消費量の近年の傾向について記述してください。
- 近年ワインの品質が向上、安定してきている理由を箇条書きで記述してください。
- マロラクティック醗酵(M.L.F.)について詳細に説明してください。
- 「有機ワインはおいしいのか?」について考えを述べてください。また「ビオディナミ」の特徴について説明してください。
- ワインにおけるフェノール類とはなにか。また、フェノール類がワインに与える要素、特性、効果などについて、できるだけ多くの点を挙げてください。
- 日本ワインのプレゼンテーションを行ってください。(産地、栽培、醸造などの特徴、歴史、現状、トレンド、作り手、今後の展望など)
いかがでしょうか?
ワインの醸造知識はもちろん、トレンド、流通についても把握してキーワードを押さえた上で独自の意見を展開できないと答えられない問題ばかりですね。
それ以外にもPet Nat、Brit Fizzなどについての論述のテーマもありました。
ワインジャーナリストでもなかなかに難しいテーマなのではないでしょうか?
だいたい600~800文字前後で回答を求められます。
近年は文字数制限がなくなる傾向が見られますが、練習の仕方としては25分で800文字を目安に練習をするといいでしょう。
ソムリエエクセレンス2022の難易度(総論)
「有資格者の皆さまにおかれましては、業務の中で日々研鑽を積まれていらっしゃることとは存じますが、主旨をご理解の上、受験いただきますようご案内申しあげます。」
ソムリエ協会の公表している、エクセレンス試験の受験概要からの抜粋です。
この主旨とは、
「2013年にはその資格試験制度の基盤をさらに強固な形に致したく、従来の資格試験との整合性を勘案し、シニア試験には上位資格としての位置づけを明確にし、認定バッジもリニューアルいたしました。 」
2013年以降は難易度を上げましたよ。ということですね。
2019年にはシニアの名称をエクセレンスに変更、より有資格者のブラッシュアップと強固な人材の発掘に力を入れていることが垣間見れます。
とうことは、、、、ソムリエ協会の権威、そして日本全体のソムリエ有資格者の質の向上を目的として、エクセレンス試験の内容は年々難しくなる一方ということが予想されます。
ワインエキスパートエクセレンス2022の難易度(総論)
さて、上記の募集要項は同じ書類でしたが、エキスパートの場合はいかがでしょう。
• ワインエキスパート資格認定後5年目以降の方(1996〜2017年認定)
• 年齢30歳以上の方
プロフェッショナルな資格ではないので職業は問わず、むしろ愛好家が主な対象となる。
ワインおよび産地に対する理解力、伝達能力について
これらがエキスパートの方にソムリエ協会が求めている能力です。
愛好家としての立ち位置ですが、経験に加え、正しい理解能力、伝達能力が求められます。
つまり「影響力」と捉えられるでしょう。
愛好家としてソムリエの育成、ワインを始め日本の食・飲料に対しての教育者やジャーナリストのような視点を持つことが必要でしょう。
つまり、エキスパートの難易度も同時に年々難化傾向にあるといえます。
合格点2022 (実際の受験生の傾向から分析)
例年、一次試験では合格点が約50%と予想されています。
全受験者のうち25名~30名が一次試験を通過します。
ただ、2022年の受験生の方々をヒアリングしている限り、一次試験の難易度はグンと上がり、
ご本人の自己採点でも良くて30~40%の正答率だったとの回答でした。
あまりにも試験内容が難しい場合は全体の合格点の調整が入ると予想されます。
二次試験のテイスティングでは前年度の一次試験合格組がそれぞれ20名ほどずつが合流し
合計40~50名が受験します。(エキスパートの方はそのまま論述試験へ)
ここでは約半数20名~25名の方が通過します。
要は、テイスティング・論述で上位から半分以上の得点を得られなければ通過できないということです。
もちろん、ソムリエ協会が定めている合格基準はありますが、上位に勝ち残る必要があります。
三次試験(※ソムリエのみ)
二次試験を通過した約20名の方+三次試験のみを残した受験生が約20名ずつ
こちらも約50名の受験生が挑みます。
そして、合格者は上位25名ほどまで。
三次試験の内容は毎年どんな内容が出題されるかは具体的に公にされておらず、
サービス: シェフソムリエ業務、プレゼンテーション、接客
口頭試問:基礎知識(教本の記載事項に限らない)、販売、接客、プレゼンテーション
このように記されています。
どこまでを勉強して、対策すればいいのか?は不明なままですね。
WBSでは実際の受験生からのヒアリング、講師の体験をもとに傾向と分析を繰り返し、攻略方法を惜しみなくお伝えしております。
実際の問題解説
一次試験が最も難関かつ最も重要な登竜門です。
まずは一次試験に全集中!!
これに尽きます。
最も効率的な勉強法のひとつに過去問と予想問題を解きまくる。というのがあります。
過去問の内容が気になる方はソムリエ協会の会員ページ(会員にならないと見れないですが。)こちらをご覧ください。
さて、2022年はどんな問題が出題されたのでしょうか??
【フランス】
Centre Nivernais 地区以下のアペラシオン①~⑦までの名称を原語で回答してください。
毎年必ず出る、地図問題(超難問)
※6問だったと聞いておりますが、どの箇所か分からないので教本の⑦まで全てとします。
英文の問題の出題率が大幅アップ
【イタリア FU】
Give the name of the new D.O.C.G. in Piemonte that will be certified in 2020.
ピエモンテの2020年に認定されたD.O.C.Gを問う問題です。
【スペイン FU】
Answer the name of Priorato Soil.
プリオラートの土壌を問う問題です。
【南アフリカ FU】
Answer the name of the person who started Old Vine Project.
OVPを立ち上げた人物の名前を問う問題です。
【ワイン概論】
Answer the basic recipe for a cocktail Margarita.
カクテルのレシピを問う問題です。これは去年ノンアルコールカクテルのシンデレラのレシピで出題されています。
【テイスティング用語】
What does “Integrated” mean when describing a wine?
テイスティング用語の英語での設問は毎度出題されています。
時事問題も出題
【ドイツ FU】
Ahrで2021年に起こった災害を回答してください。
論述的問題も出る
【オーストリア FU】
ジエチレングリコール事件以降、オーストリアワインはどのように変化しましたか?簡潔に説明してください。
※WBSのエクセレンス向けの予想問題と同じ問題が出ました!
【醸造について】
全房発酵のメリット・デメリットを簡潔に説明してください。
【日本】
甲州のルーツを解明した女性博士の名前を回答してください。
※これは難問でしたね!
テイスティング試験
2022年度のテイスティングアイテムは現在情報収集中です。
※後日アップします!
実技
試験は3段階によって行われます。
①実際のワインを用いた実技問題
②①の内容のプレゼン
③各飲料に対するペアリングの提案
では、実際に2022年はどんな内容だったかを具体的に見ていきましょう!
①赤ワインのデキャンタージュ
お題のワインは横置きにされた状態での赤ワイン、
2015年 Beringer Cabernet Sauvignon Knigts Valley
これを3分以内でデキャンタージュしてホスト、ゲストの2名にサービスしてください。
というものでした。
ソムリエ試験では持ち時間は7分
エクセレンス試験はこれを3分以内かつ、ホスト、ゲストにまでサービスするという。
これはやってみるとわかりますが、、、
とにかく時間がない!!!
練習したけど、時間が足りない!!
どう振舞うのが良かったのだろう。。。
②口頭試問
先ほどワインをデキャンタージュした理由とワインについての説明を価格にも触れて、2分でお願いします。
2分しゃべり続ける、、、今度はこれが長く感じる!
そして2022年からは価格帯も問われるようになりました。
何をどう話したらいいのだろう。。。
③ペアリング
以下の4つの飲料の説明とそれに合わせる料理を一品ずつ理由を合わせて3分で説明してください。
- レッツィーナ
- ウィーナーゲミシュターサッツ
- 南アフリカ グルナッシュ David & Nadia
- 達磨政宗 5年古酒
最後の日本酒以外はFUで取り上げられていたワインです。
皆様でしたら、どんな料理を合わせますか?
どう説明したら、分かりやすくいいプレゼンと言えるのだろう。。。
おそらく①、②、③それぞれの内容で大きい字で書いた部分が皆様が疑問に感じた部分かと思います。
実は、それぞれ審査員の視点から考慮すると点数の入れやすい攻略のパターンがあるのです。
WBSではテイスティング試験も同様に、かなり手厚くフォローをします!
来年度(2023年)の予想
2023年はズバリ、さらに難化傾向に向かうと予想されます。
一次試験においては英語の設問がより増えると予想されます。
長文ではないですが醸造方法からワインの歴史などについての簡単な論述も求められます。
テイスティング、実技、論文についてはトリッキーな出題はないと予想されます。難易度は来年も同様だと私は感じています。
ただ、年々全体の受験者のクオリティも上がりますので、その中でも上位に勝ち残らなくては合格できないようになるでしょう。
対策としては、普段からのワインに対するアンテナやワインと料理のマリアージュに対するアンテナを広く張っておく必要があります。
テイスティングから実技までをいかに高得点をマークするか?
これが合否に鍵になってくるでしょう。
まとめ
私も最初受験したときは「ヤバいものに手をつけてしまった」という感触しかありませんでした。
実際にそう感じた方も多いと思います。
ただ、受験を志した勇気を持った人にしかチャンスは訪れません。
志したのであれば、是非最後まで昇るんだという覚悟を持ってください。
正直生半可な試験ではありません。
受験をすると決めたときから、いかに限られた自分の時間を使って合格まで上り詰めるのか。
コツコツと積み重ねるしかありません。
おそらく日常生活では沢山のことを切り捨てて、受験中心の生活となるでしょう。
そして沢山の人の協力やサポートを得ながら日々を過ごすことになります。
終わったときにそのサポートの大きさにより気づけるはずです。
WBSでは受験を志して踏み込んでくださった方のサポートと道しるべは全力で行います!
ぜひご興味をもっていただいたらご参加ください!